海外の弓道について
 
 
 
 
ドイツ、ロットバイルにある弓道場
 
『修技館弓道場』 (1999年道場開きが行われた。)
 
(2000年7月撮影)
 
 
 
この道場で2000年夏、日置流弓道セミナーを行った。セミナーには約60名くらいが参加していただいた。途中、ロットバイル市長さんもご挨拶と見学にいらっしゃった。その時の礼射の様子が新聞にも掲載されるなど、日本の弓道も少しずつ関心を持たれているものと思われる。
ここには昔、駅があった。第二次大戦頃、ロットバイルでは爆弾の火薬を製造しており、このすぐ近くには旧爆弾工場の建物も存在する。工場に通じる線路が引いてあったのであろう。工場で働く人々がこの駅を利用していたものであろう。写真下方に見える木材は鉄道の枕木である。的場の背部(安土の後面)には枕木が使用されている。
 
この道場は、基礎となる鉄骨の枠組みは専門の業者が請け負い、大型クレーン車などを用いて基礎部を造っているが、その他は弓道・剣道の会員が協力しあって、建築した、手作りの施設である。写真に見える的場部分もすべて会員の手によるものである。
 
左手側はすぐネッカ川?(だったかな?)が、その川向こうには鉄道が走っている。時折轟音をとどろかせて列車が走るので、講義は中断するが、その他はたいへん静かで心地よい環境にある。
 
写真ではわかりにくいが、安土にはたいへん白い砂を使用している。もう少し黒みがかった安土の方が落ち着きのある日本的な感じがするであろう。安土の砂について、どのような砂や土を配合すべきかについて質問もあったので、少し調べてE-MAILで回答することになっている。
 
安土、的下の地面が射場床面と同一水準にないようだ。もう少し土を入れるよう意見した。また、的場の向こうは何もなく、危険はまったくないとは言っていたが、屋根部の傾斜と瓦の向きなども見ると、「矢止め」があることが望ましいであろう。これも意見として述べておいた。
 
ドイツには、ロットバイルの弓道場の他に、ハンブルクにあるアルスター弓道場がある。旧アルスター弓道場は数年前に焼失し、新たに立て直された。
 
  
 
 
 
 
 
イタリア、ガララーテにある弓道場
 
『練心館弓道場』 
 
                 的 場     (2000年8月撮影)
 
 
 
 
 
 
 
                  射 場     (2000年8月撮影)
 
 
すべてのものは、ヨーロッパで調達された。先行き、的場の裏広場は弓道場専用駐車場になる予定。
的場裏にはトイレ、シャワー室、的張り場、器具置き場がある。
射場には更衣室とティールームが附属している。
 
 
 
 
 
 
 
 
イタリアの弓道パンフレット
 
 
 
 
 簡単に弓道についての説明がされている(裏面もあり)。イタリアで弓道を始めるための案内、連絡先などが記載されている。
 
 
 
 
 
 
ハンガリーで制作された和弓
 
 
                        (2000年8月撮影)
 
 
ハンガリーの弓道はまだ盛んではないが、イタリア、ドイツの弓道家のアドバイスを得て、ハンガリーでは和弓が制作されるようになった。商売としてではないが、個人の趣味の延長ではあるが、ハンガリー弓道クラブの活動資金の足しとしても売り上げは制作者からクラブへ寄付されているようだ。 
私は4寸伸弓と並弓を試射したが、並弓(16kg)はよく冴えたすばらしい弓であった。この、ハンガリー製グラス弓は、欧州の弓道普及にも貢献するものと考えられる。
イタリアでも個人の趣味であるが、グラス弓、カーボン弓、竹弓などが数年前から制作されている。すべての材料を欧州で調達した竹弓も制作されている。個人の趣味の領域を出るものではないが、弓村も日常的に行われており、弓具、特に矢制作・弓制作に関しては、日本の弓道家よりも知識と技術は格段高いものがあるであろう。
ドイツでも仲間の弓道家のために「藤放し」を弓に仕上げている弓道家もいる。
ちなみに、私が矢の制作方法をはじめて習ったのは、1987年であったろうか、ドイツ人弓道家からで、ここで習ったことをきっかけに、更に深く弓具制作に興味を持つこととなったのである。
写真は、2000年8月、私たちが日本に持ち帰ったハンガリー製グラス弓(並)で、仙台市の弓道家の所有するものである。附属する白ぽい弦は特殊繊維で欧州で自作された弦である。2〜3年は切れないであろう。弦音はよくない。
 
 
 
 
 
 
 
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